秋の夜長のお薦め小説

『千年の孤独』って本がある。ラテンなガルシア・マルケスさんの著作。
この本がトンデモいい本で、僕は大好きなのである。


僕が新しく買ってきた小説を読むとき、だいたい、すんなり読むことができるか、数行で読めなくなるかどっちかである。
ストーリーにすんなり入れる時は、作品がキャッチーなときが多い。それは作品世界に有る程度抵抗無く入り込めるということであって、逆に、インパクトにかけて記憶にのこらないことが多いともいえる。
読めないときは、ほんとに読めない。なんだこりゃって思う。
困ったことに、その後何度かトライしてもなかなか入れないことがある。
しかし、こういった本はあまりにも個性が強すぎるために、入り口が狭い反面、入ってしまえば二度と出られないような、ドラえもんの四次元ポケット的怖さをもっている。


ほんで、『千年の孤独』なんだけど、これは後者。
一年ほど前に挫折して、今年の夏に再チャレンジ。
結果、途中でやめれなくなった。


ストーリーはたまに破綻してるし、荒唐無稽だし、なんだこりゃって思わないでもないんだけど、そういった不自然なことをリアルに思わせてしまうような力量が、この作者にはある。
ブエンディア家の創始から終結(断絶?)までを描いたストーリーなんだけど、登場人物も多く、同じ名前も多く、混乱すること必死である。実際作者も勘違いしているように思えるところがある。しかし、そのかなり癖のある登場人物一人一人にまつわるかなり上質なエピソードが、ころころと次々とつながりあって、いいテンポでストーリーは進んでいく。
そして、一つ一つのエピソードで社会や経済、文化、人間について深く考えさせられる。
千年の孤独は、読者自身の孤独にもつながっているのかもしれない。
てな、読書の秋のお薦め本でした。