火星人

オリヴァー・サックス著『火星の人類学者』っていう本が早川書房から出版されてます。
引っ越しのために、半分ぐらい読んだところで行方不明になってたのが今ごろになって出てきた。
内容を随分忘れていることに唖然。
突然、全色盲に陥った画家の話や、盲目の人生を歩んできた人の視力が回復したその後の逸話など、人間の極端な脳神経症について書かれています。
サックスさんは、脳神経外科医だそうで、非常に珍しい症例を手引きに人間の脳の働きの不思議を語ってくれます。
さあ、続きを読もう。

お弁当

今日は本当にいい天気で、空気の粒を肌で感じとることができるようだった。
清涼な空気を思いっきり胸に吸い込み、吐き出す。
空を見上げる。
何も変わっていないと思う、ずっと。
結局、人の営みは今も昔も変わりなく続く。
あたりまえのことをもう一度あたりまえのように行うこと。
状況をきちっと捉えること。
素直な目を持つこと。
なにかにとらわれることなく、気持ちは自由にありたい。

夏のような日差しの下、川筋に沿って生えた木々の陰で、嫁さんと息子とお弁当を食べながら、んなことを思った。

倉吉の打吹

先日、鳥取の倉吉に行ってきた。
倉吉の打吹地区は国が重要伝統的建造物群保存地区に選定し、まちなみがとっても美しい。
今年、都市景観大賞「美しいまちなみ大賞」なんかももらっている。
で、どんな感じなのかというと、白い壁の蔵が水路沿いにならんでるのがとっても素敵なのである。
水路には、小さな石橋が架かっていて、これまた僅かにカーブを描き繊細さをアピール。
青空の下に白い壁と赤瓦が映えて、松が白壁に影を落としているのがなかなかよいのである。

倉吉は古代、伯耆の国の国府がおかれた歴史の深いまち。
中世に城下町として整備され、近世には千歯扱きやかすりが有名なところでもあった。
江戸のいつごろかはしらないけれど、ここの稲こき千歯は全国の80侗を占めてたらしい。
歯が欠けたときのために、メンテで全国を回ったりする人もいたとか。。。すごい!
その鍛冶職人の街は今はなく、背割り排水がその名残を伝えるのだけれど、これは伝建範囲外のはなし。

うまいものはというと「もちしゃぶ」。
うすいもちを、だしの中にさっとくぐらせ、くたっとしたところを口に入れる!
うーん、うまい。
ちょっと甘いだしで、これは日本海側だからかと思う。

倉吉には、二十世紀梨記念館ってな施設もあって、なかは不可思議な世界が広がっている。
2階には絶対夢に出てきそうな、体長3メートルの大きな芋虫(もちろん模型)がいてかなりこわい。
しかし、コンテンツはなかなか良くできていて、梨の起源から、栽培方法なんかがよくわかります。
ティーや梨ソフトも、自慢!
紅茶のかぐわしい梨のかおりとともに、ソフトの滑らかな口触りを堪能すれば、君も梨博士。
ぜひ、楽しんでください。

おまけ
丹下健三の設計である倉吉市庁舎もあります。まどには耐震用のブレスがはめ込まれていて、残酷な感じです。

秋の夜長のお薦め小説

『千年の孤独』って本がある。ラテンなガルシア・マルケスさんの著作。
この本がトンデモいい本で、僕は大好きなのである。


僕が新しく買ってきた小説を読むとき、だいたい、すんなり読むことができるか、数行で読めなくなるかどっちかである。
ストーリーにすんなり入れる時は、作品がキャッチーなときが多い。それは作品世界に有る程度抵抗無く入り込めるということであって、逆に、インパクトにかけて記憶にのこらないことが多いともいえる。
読めないときは、ほんとに読めない。なんだこりゃって思う。
困ったことに、その後何度かトライしてもなかなか入れないことがある。
しかし、こういった本はあまりにも個性が強すぎるために、入り口が狭い反面、入ってしまえば二度と出られないような、ドラえもんの四次元ポケット的怖さをもっている。


ほんで、『千年の孤独』なんだけど、これは後者。
一年ほど前に挫折して、今年の夏に再チャレンジ。
結果、途中でやめれなくなった。


ストーリーはたまに破綻してるし、荒唐無稽だし、なんだこりゃって思わないでもないんだけど、そういった不自然なことをリアルに思わせてしまうような力量が、この作者にはある。
ブエンディア家の創始から終結(断絶?)までを描いたストーリーなんだけど、登場人物も多く、同じ名前も多く、混乱すること必死である。実際作者も勘違いしているように思えるところがある。しかし、そのかなり癖のある登場人物一人一人にまつわるかなり上質なエピソードが、ころころと次々とつながりあって、いいテンポでストーリーは進んでいく。
そして、一つ一つのエピソードで社会や経済、文化、人間について深く考えさせられる。
千年の孤独は、読者自身の孤独にもつながっているのかもしれない。
てな、読書の秋のお薦め本でした。

ごぶごぶ

まったく沙汰無きほどに五ヶ月
隠遁の地を求め彷徨い歩くに至らず
憧れし地は思わぬ身近に
帰りし折りには暖かき夢を抱きて

なんて黄昏ちゃうこの頃。
ほんとに久しぶり。はてなダイアリー
実は身が落ち着くまで書かないぞと決めてました。

そんで、落ち着きました。
十月三十日(日)赤口
めでたく、私、結婚いたしました。

で、日記を書こうと思ったんですけど、
近々引っ越すので、しばらくネットがつながらなくなります。
残念。

最近見た古建築。

仁和寺の金堂と観音堂など特別拝観の折りに。
いま、九所明神で修復工事をしています。
境内にあるのはほぼ寛永のものばかり。
ここまで、統一感のあるお寺も珍しいです。

さて、他にも加茂別雷神社の大炊殿とか、東殿と西殿。
これも仁和寺も特別拝観で。

あと、須田家住宅。
向日市にある府指定の民家。

南真経寺も、本堂がお気に入りです。

後は内緒。

いずれ写真付で載せれるようにがんばります。

シラノ・ド・ベルジュラック

ええ話です。
Edmond Rostandの原作は岩波文庫にも入ってます。
実は、3度も映画化されてます。
1990年に製作されたジェラール・ドパルデュー主演のものが、いちばん好きですが、過去の作品(1023年と1950年、もち白黒)も合わせてみるとより楽しめます。
詩的で、剣に秀でて、強がりで、コンプレックスにあふれるシラノと、アンヌ・ブロシェ演ずる美しいロクサーヌ
好きな人に告白できなくて、強がって、思いを断ちきって、苦しんでと、まるで中学生や高校生の恋愛のようです。
(現在の中高生がどのような恋愛感を抱いてるかはしらんけどね。)
僕はシラノのようになりたかった覚えがあります。
中身で勝負できる格好ええ人ですわ。
まったくもって、ほんまにええはなしですわ。

感動

毎朝、自転車でふらふらと勤め先に向かう。
桜の季節は桜。
蛍の季節は蛍。
カツオはなくとも、目に青葉。
そして、水の流れる音。
すべてがなにげなく存在していて、意識した瞬間に自分の中に流れ込んでくる。
きづくことで贅沢で裕福で幸せな気持ちになる。
道路をみて一生懸命自転車を漕ぐのも、新芽のみずみずしい桜にみとれながら、せせらぎにも耳をかすのも、
蛍の脇に家路を急ぐのも、少し足をとめてビールを飲みながら蛍と話を交わすのも、
すべて自由。

見ようと見まいと、存在自体なけりゃお話になりません。
そこにあるなら、ささいな喜びに敏感にありたい。
強い感動じゃないけど、心象風景に出会えた気持ちがする。
そして、やっぱり昭和の風景好きな自分に気付く僕でした・・・