蟇股についての覚書 その1

蟇股といわれる意匠が日本建築にはあって、その名の通り蟇が両足をぐいっと伸ばした格好をしている。ちなみに、上半身はなくて、カエルの下半身のみ。その脚がぐっと部材を支えるような形になっている。
起源はというと実は中国で、寺院建築の将来(佛教の将来)と共に輸入された。もちろん、そのころは朝鮮半島経由だけど。中国では駱駝の瘤に似てるので「駝峯」と呼ばれ、韓国では「華版」と呼ばれているのです。
でも、形をみてみるとやっぱりカエルなのよ。一斉にカエルが脚を延ばしたら、屋根が吹き飛んでしまうようなところに据え置かれているし、つい、屋根がびよーんと吹き飛ぶところを想像してしまう。
日本建築になーんの興味もない人は聞いたこともないだろうし、興味が向くこともないだろうものだけど、注意していろんなお寺でいろんな蟇股を観察しだすと、これほど時代の変遷を反映して面白いディテールはない。
じゃ、日本のいちばん古い例はというと、言わずとしれた、かの有名な法隆寺.
そうです、金堂上層の高欄を支えている人字型をした割束なのです。
あれが、形を変えていったらしい。
というのも一つの説。
確かに似てるよね割束とカエルマタ。
個人的には、宇治上神社本殿南殿の蟇股が好きさ。
もちろん海住山寺文殊堂のも。